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BLOG吉野農産の活動日誌!

冬の“遅い時間”が整える畑

冬の畑に立つと、時間の流れがはっきり変わる。夏のように一日で姿を変える野菜はなく、昨日と今日の差がほとんど見えない。成長のスピードが落ちるぶん、畑の時間全体がゆっくりと伸び、静かな余白が生まれる。その余白は、繁忙期には見えない細部を浮かび上がらせる。

畝の高さのわずかなムラ、風が抜ける筋、水が溜まりやすい低い地点。野菜があまり動かない季節だからこそ、土のクセが素直に現れる。時間が遅くなることで、作物よりも土が語りかけてくるような瞬間がある。このサインを拾えるかどうかで、春の仕込みの精度が変わる。

冬は道具や動線を整え直す季節でもある。スコップの柄の緩みや、収穫コンテナの配置、機械を動かす順序。忙しい日々の中で気づいては流してきた部分に、ようやく手が届く。畑全体の“時間のゆるみ”が、人の判断にゆとりをもたらしてくれる。

成長が遅いこの季節は、畑が静かに深呼吸しているようにも感じる。今日の遅い時間を味わいながら、一つの畝だけ丁寧に整えた。冬のゆっくりしたリズムが、来春の段取りを自然と形にしていく。

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